Knowledge

図面で読む、スピーカーの仕組み。

オーダーのご相談でよく出てくる型と用語をまとめました。 すべて覚えていただく必要はありません。「こういう鳴り方がいい」とだけ伝えていただければ、 あとはこちらで図面に落とします。

01 — Enclosure

箱の方式 — 密閉型・バスレフ型・バックロードホーン

ユニットの裏側に出る音をどう処理するか。ここで低音の量と締まりが決まります。

SECTION

A-01

密閉型

SEALED / ACOUSTIC SUSPENSION

箱を完全に閉じ、裏側の音は吸音材で殺す方式。低音の量は控えめですが、輪郭がぼやけず、量感の増減がなだらかです。

PORT / DUCT

A-02

バスレフ型

BASS REFLEX

穴(ポート)を開け、裏側の音を位相を揃えて前に出す方式。同じ箱の大きさなら低音がよく伸び、いま最も一般的です。

FOLDED HORN

A-03

バックロードホーン

BACK-LOADED HORN

裏側の音を折りたたんだ長い通路で増幅して放つ方式。小さなユニットでも低音が出て、鳴りっぷりのよい音になります。

DIFFUSER CONE NARRATIVE

A-04

ディフューザー方式

DOWN-FIRING + REFLECTOR

下向きのユニットの真下に円錐を置き、音を一度当てて水平方向へ散らす方式。部屋のどこにいても均一に鳴ります。

02 — Driver

ユニット構成 — フルレンジ・2way・3way・同軸

音の帯域を何個のユニットで分担するか。数が増えるほど広い帯域を担えますが、つなぎ目の設計が難しくなります。

1 WAY

B-01

フルレンジ

FULL-RANGE

1個のユニットで全帯域を鳴らす構成。ネットワークを通さないぶん、音のつながりが自然で位相も乱れません。

2 WAY

B-02

2way

TWO-WAY

低音と高音を2個で分担する、最も標準的な構成。バランスが取りやすく、多くの既製品がこれにあたります。

3 WAY

B-03

3way

THREE-WAY

低・中・高を3個で分担する構成。人の声がいちばん出る中域を専用ユニットに任せられるのが利点です。

COAXIAL

B-04

同軸

COAXIAL

高音用を低音用の中心に埋め込み、音の出どころを1点にまとめた構成。ALTEC や TANNOY のビンテージに多く見られます。

03 — Placement

設置のかたち — ブックシェルフ・吊り下げ・サウンドシステム

どこにどう置くかで、必要な箱の大きさも音の出方も変わります。オーダーで最初にうかがうのがここです。

SHELF / STAND

C-01

ブックシェルフ

BOOKSHELF

棚やスタンドの上に置く小型。耳の高さに合わせやすく、置き場所を選びません。低音は箱の大きさなりです。

FLOOR STANDING

C-02

トールボーイ

FLOOR STANDING

床に直接立てる縦長型。箱の容積を稼げるので低音が伸び、スタンドが要りません。そのぶん存在感は出ます。

IN-WALL

C-03

埋め込み

IN-WALL / IN-CEILING

壁や天井の内側に仕込み、面と同一に納める方式。空間から機器が消えますが、下地と配線を工事段階で決める必要があります。

SUSPENDED

C-04

吊り下げ

SUSPENDED / PENDANT

天井から吊るす方式。床を占有せず、音を上から降らせられます。天井の下地と耐荷重の確認が前提になります。

STACK ×N

C-05

サウンドシステム

SOUND SYSTEM / STACK

レゲエやダブの現場で使われる、帯域ごとの箱を複数積み上げる構成。低音のスクープ、中音、ホーンを別々に鳴らし、台数を足して規模を変えられます。

04 — Glossary

スピーカーの用語集

ご相談やお見積りに出てくる言葉です。わからないものがあれば、その場で聞いてください。

ユニットまわり

ユニットDRIVER
実際に空気を震わせて音を出す部品。スピーカーの心臓部で、この選定でおおよその音の性格が決まります。
ウーファーWOOFER
低音を受け持つ大きめのユニット。口径が大きいほど低い音まで出せますが、高い音は苦手になります。
ツイーターTWEETER
高音を受け持つ小さなユニット。シンバルや弦の質感、空気感を担当します。
振動板DIAPHRAGM / CONE
ユニットの動く面。紙・布・金属・樹脂など素材によって音の硬さや軽さが変わります。
エッジSURROUND
振動板の外周を支える柔らかい輪。ビンテージ機ではここが劣化していることが多く、張り替えの要否を必ず確認します。
能率SENSITIVITY (dB)
同じ入力でどれだけ大きな音が出るか。数値が高いほど小さなアンプでも鳴らせます。ビンテージのユニットは総じて高能率です。

箱まわり

エンクロージャーENCLOSURE
ユニットを収める箱そのもの。裏側に回る音を抑え、素材と容積で音の性格を決める、設計上いちばん自由度の高い部分です。
バッフルBAFFLE
ユニットを取り付ける前面の板。ここの硬さと面積が、音の立ち上がりと広がりに直接効きます。
ポート(ダクト)PORT / DUCT
バスレフ型で箱に開ける穴と、その奥の筒。長さと太さの組み合わせで、どの低音を持ち上げるかを調整します。
吸音材DAMPING MATERIAL
箱の内側に入れるフェルトやウール。中で反射した音を吸わせ、こもりを取ります。
定在波STANDING WAVE
平行な面のあいだで音が往復して居座る現象。箱の中でも部屋でも起き、特定の音だけが不自然に膨らむ原因になります。
箱鳴りCABINET RESONANCE
箱自体が震えて出す音。抑えるほど正確になりますが、あえて残して響きの豊かさに使う設計もあります。
リフレクターREFLECTOR / DIFFUSER
ユニットの前に置いて音の向きを変える部材。NST では円錐形の合板を使い、下向きの音を水平に散らしています。

回路まわり

ネットワークCROSSOVER NETWORK
入ってきた信号を帯域ごとに振り分け、各ユニットへ送る回路。2way 以上では、ここの追い込みが音の善し悪しを分けます。
クロスオーバー周波数CROSSOVER FREQUENCY
低音用と高音用の担当が入れ替わる境目の高さ。ここのつなぎ方が不自然だと、声の帯域に違和感が出ます。
インピーダンスIMPEDANCE (Ω)
スピーカー側の電気的な抵抗値。アンプとの相性に関わるため、お使いの機材をうかがったうえで設計します。
パッシブ/アクティブPASSIVE / ACTIVE
アンプを内蔵しないものがパッシブ、内蔵するものがアクティブ。NST は基本パッシブなので、別途アンプをご用意いただきます。

音の話

周波数特性FREQUENCY RESPONSE
低い音から高い音まで、どの高さがどれだけ出ているかのグラフ。納品前に工房で必ず測定します。
位相PHASE
複数のユニットから出た音の到達タイミングのずれ。揃っていないと、音像がぼやけて聞こえます。
指向性DIRECTIVITY
音がどの方向にどれだけ広がるか。狭いと一点でしか良く鳴らず、広いと部屋のどこでも均一に鳴ります。
音像定位IMAGING
演奏者がどこに立っているかが見えるように聞こえること。左右の個体差と設置の対称性で決まります。
ニアフィールドNEAR-FIELD
1〜2m ほどの近い距離で聴く前提。部屋の影響を受けにくく、小型でも十分な満足が得られます。
サウンドシステムSOUND SYSTEM
帯域ごとの箱を複数積み上げ、まとめて鳴らす構成。レゲエやダブの現場で育った方式で、台数を足せば必要な規模に合わせられます。
スクープ(ベースビン)SCOOP / BASS BIN
サウンドシステムの土台になる低音専用の箱。内部を折り返したホーンで、体に来る低音をつくります。
エージングBREAK-IN
新品のユニットが鳴らし込みでほぐれ、本来の音になるまでの期間。目安は数十時間から数百時間です。

Order

You do not need to
know the words.

「こう鳴ってほしい」だけ決まっていれば、あとは一緒に図面へ落とします。

オーダーを組み立てる